イノベーションが景気変動の波をつくりだしてきた
「コンドラチェフの波」を語る
ロシアの経済学者コンドラチェフは 「景気は周期的に変動し、その要因としてイノベーションが大きな役割を示してきた」と考えました。この考えに基づき図のような景気変動とイノベーションの関係が報告されています。これまでに出された4つの報告を整理してみると、下の表のようになります。
「2060年ごろに向けての、次の波はどんなイノベーションによって生み出されるでしょうか?」この問いの答えを用意するために、下の表の中の、動力源や輸送に関連するイノベーションを波ごとに整理してみます。そうすると、
[第1波:蒸気機関]→[第2波:鉄道]→[第3波:エンジン(自動車)]→[第4波:航空、コンピューター]→[第5波:デジタルネットワークコミュニケーション技術]
の順にきていることがわかります。次の波を生み出すイノベーションは、物質・エネルギーの技術と情報技術が強固に結合した『情報化した物質・エネルギー技術』ではないかと、私たちは考えました。
また、表の中の素材に関連するイノベーションは
[第1波:繊維・綿]→[第2波:鋼]→[第3波:化学]→[第4,5波:石油化学]
と展開しています。近い将来、化石燃料が限りある資源と認識されると、化石燃料の価格が高騰し、原油を原料として石油化学技術で製造されるプラスチックのような素材を安く・大量に作ることが難しくなります。そのため、再生可能なバイオマスのようなものを原料としてさまざまな素材を作る生態化学ともいうべき技術や、分子や原子の配列を操り、素材を製造するMateri-Ome技術が次の波を生み出していくと、私たちは考えました。